ITストラテジスト試験(午後2ヒント)

事前にストーリーを5つ用意しよう

 

ストーリー1 業務プロセスのIT化による効率化
もっともよく出題されるパターンの一つ。既存の業務プロセスをIT技術を利用することで効率化するというストーリーである。例えば居酒屋で、これまで手書き伝票だったものをハンディターミナルを利用して効率を高めようというようなものだ。
応用可能と思われる問題 2004年問3 2008年問1 2009年問1 2010年問1 2013年問2 2014年問1
※2008年以前はシステムアナリストの論文問題(以下同様)

ストーリー2 リアルタイムな情報収集と情報提供
これは経営者が経営活動の指標をリアルタイムに収集し経営判断に活かせるようなシステムや、非定型業務などを効率化させるために情報提供をするシステムを作成するというストーリーだ。具体的には、本部が各地の工場の在庫をリアルタイムに閲覧できたり、在庫不足による発注を助けるために将来の予想受注数を発注担当者に提供するシステムなど。
応用可能と思われる問題 2004年問1 2007年問3 2012年問1 2013年問1

ストーリー3 IT技術を導入による業務プロセスの変更
これはシステム導入によって業務プロセスを変更しなければならないパターンで、これもよくあるパターン。例えばERPパッケージの導入で、ERPの導入にあわせて業務プロセスを変更する必要がでてくるというような論文を用意する。他の出題例としては「ソフト導入時に現在の業務プロセスを最適化することで業務の効率が良くなる。どのように最適化したか?」などというものもある。
応用可能と思われる問題 2006年問2 2008年問2 2010年問2 2011年問2

ストーリー4 全体最適化計画で個別システム化計画の開発の優先順位を決める
これは全体最適化計画で、複数ある個別システム開発の優先順位や投資金額を決めるパターン。例えば、受注管理、生産管理、在庫管理など複数のシステム導入が決定しており、そのどれから開発していけばいいかを決めるようなストーリー。これもよくあるパターンなので用意しておく。
応用可能と思われる問題 2005年問3 2006年問1 2008年問3 2015年問2

ストーリー5 全体最適化計画でシステム化方針を策定する
これは全体最適化計画で、個別システム開発の基本的なシステム化方針を決定するパターン。例えば、各システムの接続方式を専用線にするかインターネット経由にするか、情報のやりとりの方法をSOAにするなどというストーリー。これも頻出問題なので、事前に準備しておこう。
応用可能と思われる問題 2005年問2 2007年問1 2012年問2 2014年問2

ITストラテジスト試験(午後1ヒント)

まとめて発注すると価格を安く交渉できる
仕入れ先へまとめて発注することで、そのぶんの輸送コスト、仕分けコストなどの圧縮が実現でぎる。なので仕入れ先に商品納入価格の値下げを交渉するというパターン。

新システムへのデータ移行の方法の検討
新システムへ移行する場合、現在のシステムのデータをどのように流用するかが問題になる。新システムへの移行で気をつけなければならないことみたいに問われた場合、データ移行の方法について問われている可能性があるので注意しておく必要がある。

旧システムと新システムのフィットギャップ分析
新システムを旧システムと異なる会社へ発注するような場合、旧システムにある機能で、新システムにはない機能を、旧システムの製作会社に聞いたりする必要がでてくる。

新システム導入による現在の業務プロセスの変更
新システム導入において、現在の効率の悪い業務プロセスをあらかじめ変更しておこうというような場合もある。そのときに「新システム導入時にしておくべきこと」というような意味合いで、現在の業務プロセスの問題点を解答させる問題があるので注意をする必要がある。

生産管理システムと販売管理システムを結合することで、納期が速く伝えられる
販売管理システムと生産管理システムが結合していないと、いつになったら自分の注文した製品ができあがるのかわからない。しかし現在の生産状況がわかれば、あと何日でできるかな?みたいな感じで理解できる。販売と生産管理システムが結合することで、製品の納期を顧客におおよそでもすぐに伝えられることができるわけだが、それを問う問題は典型的な問題だ。

生産管理システムと販売管理システムを結合することで、受注状況から生産計画を立てやすくなる
これも同様で、受注状況がわかれば、生産部門は生産の計画を立てやすくなる。生産管理と販売管理が結合することのメリットとして聞かれる可能性がある問題である。

倉庫の集約で在庫数量を削減できる
倉庫が複数あると、それぞれ一定の最低限の数量の在庫を保有する必要があるが、複数の倉庫を統合するとそれを削減できる。倉庫や物流センターを統合することで聞かれる可能性のあるメリットである。

倉庫の集約で生産計画を立てやすくなる
こちらも同様に倉庫や物流センターを統合すると、それだけ商品の動きを把握しやすくなるので生産計画も立てやすくなる。

他社の成功事例を参考にして自社の業務プロセスを改善する
競合他社が実施し成功している施策は非常に重要なポイントだ。もし自社がその施策に対応していないのであれば、自社に導入すれば成功する可能性がある。

リアルタイムな情報収集によってきめ細やかなサービスを提供する
新システムを導入することで、これまでリアルタイムに理解できなかった「設備の稼働状況」などを把握できるようになる。そうするとその設備の稼働時間から点検が必要となるタイミングを把握できるようになり、事前に点検を行うことで故障することを防止することなどが可能になる。

バイル端末を利用することで、リアルタイムな状況を把握できる
営業活動などで、客先でモバイル端末を利用することで、生産状況、納期などの情報をリアルタイムに提供することでサービスの向上が可能になる。

ITストラテジスト試験(用語集1)

◼︎OP25B

NWの境界にあるルータなどの機器で、NW内から外部のコンピュータのTCPポート25番への通信を禁止すること。インターネットサービスプロバイダなどが会員のパソコンからスパムメールが送信されるのをブロックするために行っている。
25番ポートはメールの送信に使うSMTPが利用するポート。会員がプロバイダのメールサーバでスパムメールを送信しようとする場合は、これを個別に遮断したり会員を退会処分にしたりすることができるが、外部のメールサーバを利用されるとこうした措置を取ることができない。ネットワークの境界で外部のSMTPサーバへの通信を遮断することにより、会員のコンピュータが外部のメールサーバを利用してスパムメールなどを送ることを根こそぎ防ぐことができる。

 

◼︎ARP

TCP/IPネットワークにおいて、IPアドレスからEthernet上のMACアドレスを求めるために使われる通信プロトコル。あるIPアドレス宛てのパケットをEthernet LAN内で送信するには、そのIPアドレスを持つのがどの機器なのかを割り出し、対応するMACアドレスを知る必要がある。この探査を行なうための手順を定めたのがARPで、LAN内のすべての機器に特殊な形式のEthernetフレームを送信し、当該IPアドレスの持ち主に名乗り出てもらうことでMACアドレスを特定する。パケットを送信しようとする度に毎回問い合わせなくてもいいように、一度割り出したIPアドレスMACアドレスの対応関係はARPテーブルと呼ばれる表に保存される。

 

◼︎DFD

情報システムを通るデータの流れを図で表し、構造化システム分析・設計手法で使われる。データの流れと処理を外部実体・データストア・プロセス・データフローで表現。Yourdon & DeMarco記法とGane & Sarson記法という2通りの記法がある。

データフロー図の要素

 

◼ER図 (Entity Relationship Diagram)︎

データを実体(entity)・関連(relationship)・属性(attribute)の3つの構成要素でモデル化。おもにデータベースを設計する際に用いられる

E-R図(Peter Chen記法)

 

◼︎デシジョンツリー

意思決定者が取り得る選択行動と相手(不確実性)の発生確率(主観確率)の分岐が多段にわたる際、これら分岐点を階層化して描き起こり得るすべての結論とそれぞれの期待値を算出し、期待効用が最大となる選択の経路(戦略)を求めるもの

 

◼︎バランススコアカード

従来の財務分析による業績評価に加えて、お客様の視点(顧客の視点)、業務の内容や製品のクオリティ(業務プロセスの視点)、企業のもつナレッジ(アイディア、ノウハウ)や従業員の意識・能力(成長と学習の視点)を加味した業績評価を行なうこと

 

◼︎BPMN(Business Process Modeling Notation)

業務手順を分かりやすく図示して可視化するための表記ルールを定めたもの

 

◼︎IaaS、PaaS、SaaS

IaaS:Infrastructure as a Service

PaaS:Platform as a Service

SaaS:Software as a Service

 

◼︎スファブレス(fabless)

その名の通りfab(fabrication facility、つまり「工場」)を持たない会社

 

◼︎ファウンドリ(foundry)

生産を専門に手がける、生産専門の企業

 

◼︎SMTP AUTH

メール送信時に送信者がユーザ本人であることを確認するためにSMTPサーバでユーザ認証を行う方式

 

◼︎S/MIME(Secure/Multipurpose Internet Mail Extensions)

電子メールのセキュリティを向上する暗号化方式のひとつ。電子証明書を用いてメールの暗号化とメールへ電子署名を行うことができます。S/MIMEの方式を用いるには、送信者と受信者側との両方がS/MIMEに対応する電子メールソフトを使用している必要がある。

 

 ◼︎無線LANの暗号化方式

・WEP(Wired Equivalent Privacy)
 無線LANの世界で最初に登場した暗号化方式。現状、使用することを推奨しない。

・WPA(Wi-Fi Protected Access
 欠点が多いWEPの代わりとして考えられた方式。新たにTKIP
(Temporal Key Integrity Protocol)と呼ばれる技術を採用。

・WPA2(Wi-Fi Protected Access 2)

 WPAの改良版であるWPA2では、より強力な暗号技術であるAES(Advanced Encryption Standard)を採用

 

◼︎BRM(Business Reference Model)

業務分類に従った業務・システム体型と各種業務モデルから成る、組織全体で業務やシステムの共通化の対象領域を洗い出すためのモデル

ITストラテジスト試験(共通鍵暗号方式と公開鍵暗号方式)

二者間の通信を暗号化する際、一般的なのが共通鍵暗号方式と公開鍵暗号方式

 

◼︎共通鍵暗号方式

暗号化の鍵と復号化する鍵が同一

  1. 送信側が、データを「共通鍵」で暗号化し、受信側へ送信
  2. 受信側が受け取ったデータを、同じ「共通鍵」で復号化し、データを取得

主な種類:DES、Triple-DES、IDEA、RC2、RC4、RC5、CAST-128、AES

 

◼︎公開鍵暗号方式

暗号化/復号化する際の鍵に、「公開鍵」と「秘密鍵」を用いる
一般的には、受信側が「公開鍵」と「秘密鍵」を持っていて、「公開鍵」は ”誰でも取得できるオープンな鍵”で、「秘密鍵」は ”受信側のみ保持している鍵”

  1. 送信側は、受信側が公開している「公開鍵」を取得。「公開鍵」でデータを暗号化し、送信
  2. 受信側は、受け取ったデータを「(受信側のみ保持している)秘密鍵」で復号化し、データを取得

主な種類:DH、RSA、DSA、楕円曲線暗号(ECC)

 

SSLの暗号化通信は、大きく2段階(STEP)に分かれている

STEP1では「公開鍵暗号方式」で、通信内容を暗号化するための「共通鍵」を、クライアント/サーバー間で共有

  1. クライアントから、”SSL通信をしたい”と、サーバーへ要求
  2. サーバーは、了解し、SSL(サーバー)証明書と公開鍵を、クライアントへ送信
  3. クライアントは、受け取った公開鍵を用いて、(クライアント側で生成した)共通鍵を暗号化して、サーバーへ送信
  4. サーバーは、受け取った暗号データを、秘密鍵を用いて復号化し、共通鍵を取得

 最終的に「共通鍵」をクライアント/サーバー間で共有

 

STEP2は、STEP1で共有した共通鍵を用いた「共通鍵暗号方式」で、実際の通信データ(個人情報やログイン情報)を暗号化して通信

  1. クライアントが、通信データを共通鍵で暗号化しサーバーへ送信
  2. サーバーは、受け取った暗号データを共通鍵で復号化し、データを取得

 

ITストラテジスト試験(試験要綱)

一度、試験要綱を押えておこう

1.対象者像

高度IT人材として確立した専門分野をもち、企業の経営戦略に基づいて、ビジネスモデルや企業活動における特定のプロセスについて、情報技術を活用して改革・高度化・最適化するための基本戦略を策定・提案・推進する者。また、組込みシステムの企画及び開発を統括し、新たな価値を実現するための基本戦略を策定・提案・推進する者

 

2.役割と業務

情報技術を活用した事業革新、業務改革、革新的製品・サービス開発を企画・推進又は支援する業務に従事し、次の役割を主導的に果たすとともに、下位者を指導する。

(1) 業種ごとの事業特性を踏まえて、経営戦略の実現に向けた情報技術を活用した事業戦略を策定し、実施結果を評価する。

(2) 業種ごとの事業特性を踏まえて、事業戦略の実現に向けた情報システム戦略と全体システム化計画を策定し、実施結果を評価する。

(3) 情報システム戦略の実現に向けて、個別システム化構想・計画を策定し、実施結果を評価する。

(4) 情報システム戦略の実現に向けて、事業ごとの前提や制約を考慮して、複数の個別案件からなる改革プログラムの実行を管理する。

(5) 組込みシステムの開発戦略を策定するとともに、開発・製造・保守などにわたるライフサイクルを統括する。

 

3.期待する技術水準

事業企画、業務改革推進、情報化企画、製品・サービス企画などの部門において、情報技術を活用した基本戦略の策定・提案・推進を遂行するため、次の知識・実践能力が要求される。

(1) 事業環境分析、情報技術動向分析、ビジネスモデル策定への助言を行い、事業戦略を策定又は支援できる。また、事業戦略の達成度を評価し、経営者にフィードバックできる。

(2) 対象となる事業・業務環境の調査・分析を行い、情報システム戦略や全体システム化計画を策定できる。また、情報システム戦略や全体システム化計画を評価できる。

(3) 対象となる事業・業務環境の調査・分析を行い、全体システム化計画に基づいて個別システム化構想・計画を策定し、適切な個別システムを調達できる。また、システム化構想・計画の実施結果を評価できる。

(4) 情報システム戦略や改革プログラム実施の前提条件を理解し、情報システム戦略実現のモニタリングとコントロールができる。また、情報システム戦略実現上のリスクについて、原因分析、対策策定、対策の実施などができる。

(5) 新たな組込みシステムの開発に関し、関連技術動向、社会的制約・要請、知的財産などの分析結果に基づき、競争力のある組込みシステムを企画するとともに、付加価値、拡張性、柔軟性などを踏まえ、その展開戦略や開発戦略を策定・推進できる。

 

4.試験時間・出題形式・出題数(解答数)

午前Ⅰ 9:30~10:20 (50分) 四肢択一 30問出題ー30問解答:60点

午前Ⅱ 10:50~11:30 (40分) 四肢択一 25問出題ー25問解答:60点

午後Ⅰ 12:30~14:00 (90分) 記述式 4問出題ー2問解答:60点

午後Ⅱ 14:30~16:30 (120分) 論述式 3問出題ー1問解答:ランク A

 

ITストラテジスト試験(シラバス)

一度、シラバスを押えておこう(バージョン3.0)

①業種ごとの事業特性を反映し情報技術を活用した事業戦略の策定又は支援に関すること

1経営戦略に基づく情報技術を活用した事業戦略の策定

1-1 経営要求の確認
企業の経営要求に関して次の内容を確認し,理解する。
・経営方針
・企業目標
・中長期構想
・経営戦略

1-2 事業(経営)環境の調査・分析
国内外の事業環境に関して次の作業を行う。
・市場,競争相手,取引先,法規制及び経済情勢などの事業環境の分析
・事業環境の分析結果と企業目標との関係の明確化

1-3 課題の抽出 収集した情報から情報資源における課題を分析,抽出する。

1-4 IT動向の調査・分析 情報技術に関して次の作業を行う。
・企業の情報戦略の立案に役立つ技術動向の調査及び把握
・企業目的の達成,競争優位の維持及び事業機会の創造を実現するIT利用方法の分析

1-5 事業戦略の策定
経営戦略,企業環境に基づいて,ITを活用した事業戦略を策定する。

2情報技術によるビジネスモデルの策定

2-1 情報技術によるビジネスモデルの開発提案
CIOを始めスタッフなどによる次の作業に対する助言を行う。
・ITが生み出す事業価値の調査及び評価
・ビジネスモデル開発及びビジネスプロセスの策定

2-2 業務革新の企画
ベストプラクティス(優良実践事例)などを参考に主要なマネジメント要件を明確にして,経営戦略を実現し,企業が継続的に発展できるビジネスモデルを企画する。

2-3 新製品・サービスの付加価値向上の提案

3事業戦略の実現可能性確認

3-1 システムソリューションの選択
ビジネスモデル実現のためのシステムソリューションを検討し,基本方針を策定する。

3-2 アウトソーシング戦略の策定
外部資源の活用を検討し,基本方針を策定する。

3-3 事業戦略の実現可能性確認
主として次のような観点から,実現可能性を評価する。
・ビジネスモデルと情報資源の全体最適
・IT基盤構造の全体最適
・利用する情報資源の普及度合い
・利用する情報資源の先進度合い

3-4 事業戦略展開における活動・成果指標の設定
事業戦略の実現度合いを確認するための成果指標,目標値及びその測定方法を設定する。

3-5 課題,リスクの抽出
自社及び外部の現状・動向を踏まえて,情報システムに関する様々な課題やリスクを体系的に整理し,新ビジネスモデルに則して,課題やリスクの洗い出しを行う。

3-6 概算予算の算出
成果を得るための作業と必要となるリソースを見積もり,実行に向けた概算費用を算出する。

②業種ごとの事業特性を反映した情報システム戦略と全体システム化計画の策定に関すること

4情報システム戦略の策定

4-1 対象となる業務の明確化
新規業務,改善,改革の対象となる業務を識別し,その検討優先順位を付ける。それら業務が企業目的を支援するものであるか,計画を実行するための資源が確実に入手できるか,技術的に実現可能かを確認する。

4-2 業務の新全体像の作成(業務モデルの定義)
企業で将来的に必要となる最上位の業務機能と業務組織のモデルを検討する。この検討の結果,目標とする業務の新しい全体像を描く。加えて,新システムの全体イメージも作成し,業務機能と組織モデル,新システムとが整合しているか確認する。

4-3 現行業務(AsIs)の調査・分析
現行業務に関して次の作業を行う。
・現行業務における組織,技術などの情報収集
・業務上の課題の分析及び抽出
・業界における管理面及び業務面の評価(利用者の情報活用やIT利用能力の評価)

4-4 情報システム(AsIs)の調査・分析
情報システムに関して次の作業を行う。
・現行及び将来の情報システムの目的,機能,アーキテクチャ,規模,能力,保守
・運用方法,障害状況などの分析
・情報システムの課題の抽出
・業界における技術水準の評価(業界の平均技術水準の確保)

4-5 基本戦略の策定(情報システム全体体系の定義)
基本戦略に関して次の作業を行う。
・実施すべき業務開発対象,業務改善対象及び業務改革対象の識別並びにその優先順位付け
・その対象に関する企業目的への適合性の確認
・中長期計画の策定(計画を実行するための資源の入手可能性確認も含む)
・情報戦略の評価基準の作成

4-6 情報システムの開発課題の分析と優先順位付け
基本戦略に基づいて,次の作業を行う。
・企業で将来的に必要となる最上位の業務機能と業務組織のモデル化の検討
・目標とする業務の新全体像のイメージ化(業務再構成検討も含む)
・新業務の目標達成のための概算費用,効果及び潜在的リスクの分析
・情報システム投資対象の選定及び目標の設定

4-7 情報戦略展開における活動・成果指標の設定
情報戦略の実現度合いを確認するための成果指標,及び情報戦略の実現に向けた活動が適正に実施されているかを把握するための活動指標を設定する。

4-8 情報戦略の策定と承認
経営要求及び基本戦略から選定した業務の新全体像及び投資目標に基づいて,次の作業を行う。
・情報戦略の文書化(情報戦略指針)
・経営者レベルによる情報戦略指針の承認
・情報戦略の推進体制の提案

5全体システム化計画の策定

5-1 情報システム基盤構成方針の策定(ITアーキテクチャの企画)
ビジネスモデルを基にビジネスプロセスを展開し,自社に最適なITを選択しながらITアーキテクチャを企画する。

5-2 標準の策定
情報技術動向を踏まえつつ,自社IT環境に必要な標準を策定する。

5-3 品質統制フレームワークの策定
各標準に対する準拠性についてチェックすべきポイントを抽出し,チェックポイントごとの評価体制,評価項目を検討する。評価項目をモニタリングする仕組みを計画して,品質の統制ができるプロセスを策定(又は定義)する。

5-4 システムソリューション適用方針の策定
システムソリューションの適用方針を策定する。

5-5 情報システム基盤構成展開における活動・成果指標の設定
情報システム基盤構成方針の実現度合いを確認するための成果指標,及び実現に向けた活動が適正に実施されているかを把握するための活動指標を設定する。

5-6 情報システム基盤構成方針の承認及び推進体制の提案
情報システム基盤構成方針を関係者に配布し,承認を得た後,情報システム部門の推進体制を提案する。

5-7 中長期情報システム化計画の策定
中長期を見据えた情報システム化計画を策定する。

5-8 情報システム部門運営方針の策定
情報システム戦略実行のプロセスを実行するため,全社的組織構造の中に情報システム部門を組み込み,その位置付けと使命を明確化する。役割と責任を定義し,組織を確立する。

5-9 IT全般統制整備方針の策定(コントロールフレームワークの確立)
期待されるビジネス目標を達成し,かつ状況の変化に対応できるよう,組織構造の定期的な見直しプロセスを整備するとともに,情報システム統制環境の要素(情報システム投資による価値創出に対する期待・要件,リスク許容度,インテグリティ,倫理的価値観,スタッフの能力,説明責任,実行責任など)を定義し,文書化する。

5-10 事業継続計画(BCP)の策定・実施
事業継続の対象範囲,リスクを明確にし,情報システムに関連した事業継続計画(目的,範囲,実行体制など)を策定し,実施する。

5-11 システムリスクの分析
リスク分析に関して,次の作業を行う。
・リスクと影響範囲の明確化
・情報システムの停止に伴う損失の分析
・業務の回復許容時間及び回復優先順位の決定

5-12 災害時対応計画の策定
事業継続計画と整合性を考慮の上,災害時対応計画を策定する。

5-13 情報システム化年度計画の
策定 情報システムに関連する全ての費用を算出し,情報システム化年度計画,及び情報システム部門の推進体制を提案する。策定した情報システム化年度計画は,関係者の承認を得る。

③業種ごとの事業特性を反映した個別システム化構想・計画の策定に関すること

6個別システム化構想・計画の策定

6-1 システム化計画の基本要件の確認
システム化の目的,手段,要員,期間,納期,設備,コスト,作業分担,責任分担などの基本方針をシステム化構想から確認し,開発,運用,保守,テスト,移行,環境整備,品質に対する基本的な要件を確認する。

6-2 対象業務内容の確認
業務処理と情報を情報システムの視点から整理する。

6-3 対象業務のシステム課題の定義
対象業務の具体的な業務上の問題点を分析し,解決方向を明確化するとともに,情報システムを用いて実現すべき課題を定義する。

6-4 業務システムの分析
対象業務のシステムが実現している機能,データ,システム方式,保守,運用方法,運用体制,管理体制,品質について確認する。確認された機能,データは,業務機能の再構築に活用しやすいように整理する。また,同時に,対象業務が関連する他システムとの関係についても洗い出し,利用している機能,データ,運用方法,運用体制,管理体制,運用上のリスクを確認する。

6-5 適用情報技術の調査
業務の新しい全体像を具体化するために,技術動向を調査する。調査に際しては,目標,対象範囲,具体的な調査項目を設定する。調査結果適用のための検討を行う。

6-6 業務モデルの作成
対象業務及び関連する全業務に対して,業務機能の再構成を行い,業務機能をモデル化する。さらに,適用情報技術の調査に基づいて対象とする業務機能を検討し,その業務機能について全体の整合性をとる。また,業務及びシステムの主要な変更点と業務実施上の具体的課題をまとめる。

6-7 業務プロセスの設計
業務モデルを実現するために,対象業務及び関連する全業務を整理し,業務機能の再構成及び業務プロセスを適切に設計する。また,システムを適切に活用するために,プロセスオーナ,システムオーナ,データオーナを明確にする。

6-8 システム化機能の整理とシステム方式の策定
業務モデルから対象とした業務機能を支援するシステム化機能について情報と処理の流れを整理し,開発内容と優先順位を明らかにする。この機能を実現するために,必要なシステム方式(アーキテクチャ)を策定する。また,この機能の中で必要となる主要なデータベースとサーバ,ネット ワークの構成を明確にする。

6-9 サービスレベルと品質に対する基本方針の明確化
システムが提供する信頼性,性能,セキュリティなどのサービスレベルを明確化し,それに基づくシステムの品質,品質管理体制(安全性,情報セキュリティ対策を含む)に関する基本的な要件を明確にする。

6-10 実現可能性の検討
開発,運用,保守,移行,環境整備,品質に対する要件に対して,要員,納期,コストなどの前提条件で技術的・経済的に実現可能であるか検討する。

6-11 全体開発スケジュールの作成
対象となったシステム全体を,必要に応じてサブシステムに分割し,サブシステムごとに関連する部門及び業務への影響を調査した上で優先順位を付ける。要員,納期,コスト,整合性などを考え,サブシステム単位に開発スケジュールの大枠を作成する。

6-12 システム選定方針の策定(システムソリューションの適用ほか)
システム化機能の整理とシステム方式の策定を具体化するために,システム(ハードウェア,ソフトウェア)の基本的な機能要件,構成要件,予算枠を明らかにする。システム選定の調査範囲を明確にする。

6-13 費用とシステム投資効果の予測
システム実現時の定量的・定性的効果予測を行う。また,開発,運用,保守に関する期間,体制,工数の大枠を予測し,システム実現のための費用を見積もる。費用と効果を対比させ,システムへの投資効果と時期などを明確にする。

6-14 プロジェクト推進体制の策定支援
費用とシステム投資効果の予測に基づいて,工数,要員,納期,コストなどの前提条件を確認するなど,プロジェクト推進体制の策定を支援する。

6-15 経営事業戦略,情報戦略,システム化構想との検証
事業目標,経営戦略,情報戦略及びシステム化構想の実現性を検証するために,業務モデルの整合性,システム方式の実現可能性,及びシステム投資効果の正当性について検証する。

6-16 システム化計画の作成と承認
システム化計画に関して次の事項を文書化し,情報システム部門の責任者又はCIOの承認を得る。
・具体化したシステムの開発・運用・保守の工数,費用及びスケジュール
・外部委託する場合は,その作業項目,スケジュールなど
・環境整備,教育訓練及び品質に対する基本要件などに関する前提条件

7適切な個別システムの調達

7-1 システム調達の提案依頼書(RFP)の準備
情報化資源調達の基本方針を明確にし,情報システムに対する初期要件であるRFPを作成する。供給者の選定,提案の評価,システム構築と導入計画の策定を行う。

7-2 提案評価と供給者の選択
提案の評価の結果に基づいて,供給者を選定する。

④事業ごとの前提や制約を考慮した情報システム戦略の実行管理と評価に関すること

8製品・サービス・業務・組織・情報システムの改革プログラム全体の進捗管理

8-1 モニタリング(状況把握)
改革プログラム全体で,情報システム戦略に適合した価値を生み出しているかどうかを定期的・継続的にモニタリングする。

8-2 コントロール
改革プログラム遂行の全ての過程で,情報システム戦略の実現を最優先に考慮し,定期的・継続的にコントロールを行う。また,プログラムのリスクについて,関係者と協議の上,是正処置又は予防処置を実施する。

8-3 情報システム
基盤標準やシステムに関する品質管理標準の標準化推進情報システム資源及びシステムの保護,ビジネス要件に対して提供する価値の最大化を実 現するため,企業全体を対象としてシステムに関する各種標準の策定と導入を推進する。

8-4 標準の見直し
調査結果から内容を評価し,必要に応じて標準を見直す。

8-5 改革実行のリスク管理と対策
ITリスクに対する方針を企業内に周知し,ITリスク管理計画について合意する。複数の情報化プロジェクト間で,優先順位や各種リソース(人,時間,予算など)配分などを調整の上,プログラム全体のリスクについて,対応策,防止策を講ずる。

9システム活用の促進

9-1 システムソリューションの適用推進
システムソリューション適用可能業務を調査,分析し,適用可能性・有効性を評価する。その上で,適用計画を立案し,適用を推進する。

9-2 データ活用
経営戦略の実現に必要なデータ活用を推進するために,最適なソフトウェアパッケージの導入やその利用を促進する。

9-3 IT活用の普及啓発
新ビジネスモデルの定着,ITアーキテクチャの最大活用に資する組織,体制,制度の構築など,経営層を始め企業内利用者に対するIT活用を普及,啓発する。

9-4 情報リテラシの向上
ビジネスモデルやITアーキテクチャを一体として実現するために,利用者の能力及び組織の能力を向上させる適切な施策を企画する。

9-5 改革プログラムの効果・費用・リスクの分析・評価・改善
バランススコアカードなどを利用して,IT投資効果を評価するとともに,経営戦略の実現に向けたシステム運用実態及び利用実態を評価する。

9-6 改善要求とフィードバック
システムの効果評価と利用実態の評価などから改善要求をとりまとめ,次期ビジネスモデルやITアーキテクチャの企画にフィードバックする。

10戦略の達成度評価

10-1 事業戦略の評価
事業戦略評価指標について,その実測値と目標値とを比較し,差異分析を行う。差異分析した結果を基に,事業戦略の課題を抽出し,フィードバックする。

10-2 情報システム戦略の評価
情報システム戦略評価指標について,その実測値と目標値とを比較し,差異分析を行う。差異分析した結果を基に,情報システム戦略の課題を抽出し,フィードバックする。

10-3 全体システム化計画の評価
情報システムの全体システム化計画(IT戦略,基盤構成方針など)について,その実測値と目標値とを比較し,差異分析を行う。差異分析した結果を基に,全体システム化計画の課題を抽出し,フィードバックする。

10-4 個別システム化計画の評価
個別システム化計画(システム運用及び業務運用)について,その実測値と目標値とを比較し,差異分析を行う。差異分析した結果を基に,個別システム化計画の課題を抽出し,フィードバックする。

⑤組込みシステムの企画開発計画の策定・推進に関すること

11組込みシステムの企画,開発,サポート及び保守計画の策定・推進

11-1 技術動向分析
通信,情報,アーキテクチャ,ヒューマンインタフェース,ストレージ,半導体,計測,制御,プラットホームなどの基本技術やIoT,ビッグデータ,AIなどの先端技術についての技術動向を把握し,組込みシステムを商品展開する上での分析を行う。

11-2 製品戦略策定
製品市場動向・社内技術評価などを踏まえた製品戦略策定を行う。

11-3 知的財産・規格・法令・製品の安全性や環境対策などへの考慮点の整理
企画対象の組込みシステムの技術要件を基に,知的財産・規格・業界標準・規制・法令などとのかかわりを分析するとともに,製品の安全性や環境対策などへの考慮点を整理して下位者に適切な指示を与える。

11-4 リスク分析 企画対象の組込みシステムについてリスク分析を指示し,分析結果を基にリスクマネジメントについて的確な指示を与える。

11-5 調達方針の策定
企画対象の組込みシステムの要素技術を把握し,自社の技術水準との関係から適切な調達方針を指示する。

11-6 経営戦略との整合性評価
組込みシステムの企画展開を経営戦略との関係から評価し,意志決定を行う。

11-7 要求の確認と調整
企画対象の組込みシステムの要求事項を分析し,企画を推進するために,適切な範囲で機能要求と環境要件の調整,確認を行い,要求仕様としてまとめる。